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November 25, 2005

嘘つきアーニャの真っ赤な真実

このタイトルの本(角川文庫)を読んだ。これはロシア語通訳やエッセイで有名な米原万里の著作で、彼女が小学生の頃に過ごしたプラハの同級生3人の行方を訪ねていく話である。彼女の父親が日本共産党幹部であったことから1960年頃数年間プラハに駐在し、それぞれ各国の共産党幹部の子女が通う「ソヴィエト学校」の子供達と友達になった。この物語ではギリシャ、ルーマニア、ユーゴスラヴィア出身の女の子の当時のエピソードとその後、そして再会(1995年)が描かれている。

この話を通じて興味深いのは、この女の子達は本人が好むと好まざるに関わらず東ヨーロッパの激動の歴史の中にその人生が深く巻き込まれてしまったことである。それは1989年の東欧革命だけでなく、1968年の「プラハの春」にも遡る。ギリシャ共産党幹部の娘リッツァは父親が「プラハの春」へのソ連介入に抗議してプラハを追われ今はドイツ在住、、ルーマニア出身のアーニャはチャウシェスク政権の崩壊を前に英国人と結婚して国外に脱出、ユーゴスラヴィア出身のレスミンカはボスニア=ムスリムという出自のため内戦下のベオグラード(セルビア)で差別とストレスを感じながら生活している、という具合である。またそれぞれの親兄弟も歴史の流れの中で様々な目に遭遇している。王朝や権力者の交代という歴史的な出来事の下では、このように無数の人達がその影響をもろに受けて翻弄され、様々なドキュメンタリーを造っていることを改めて認識させられた。

このストーリーを知ったのは、実はオラニエ公のお気に入り番組の一つである「世界わが心の旅(BS-2)」で取り上げられたときである。米原さんが旧友に数十年ぶりで再会するためにプラハ、ブカレスト、ベオグラードを訪れ、それぞれで劇的な再会を果たしていたのがとても印象に残った。歴史によって産み出されたある劇的なストーリーを、読書を通じて再度深く確認することが出来た訳である。

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