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March 30, 2006

ウィーン・フィル in ブラッセル

現在世界を代表する三大オーケストラといえば、ドイツの「双璧」といわれるベルリン・フィルとバイエルン放送交響楽団、それにウィーン・フィルであろう。「双璧」は昨年の12月にそれぞれの本拠地で聞く機会に恵まれたが、ウィーン・フィルの楽友教会でのチケット入手は常に困難を極めている。そこでヨーロッパ内での演奏旅行をチェックしていたらお隣の国ベルギーのブラッセルでの公演があり、運良くチケットを入手することが出来た。料金は122ユーロ(約17,000円)と高めだが、天下のウィーン・フィルを聴けるということで、一路車を飛ばしてブラッセルに向かった。

演奏会場は"Palais des Beaux-Arts"、「美の芸術宮殿」とでも訳せるが、まずここが意外と今ひとつであった。旧めの石造りの建物で、中は大理石ではなくて漆喰張りみたいな感じ。音響効果や雰囲気もアムステルダムが世界に誇るコンセルトヘボウとは大きな違い。しかも休憩時間にはホールに人が溢れて満員電車状態だ。ブラッセルといえば欧州(EU)の首都でフランス文化の風薫るイメージがあったのだが、こと最高峰のオケを迎えるクラシックのホールについてはちょっとがっかりだった。

日時: 2006年3月29日(水) 20:00~22:15
曲目: モーツアルト:ファゴット協奏曲 変ロ長調K.191*
シューマン:交響曲第3番変ホ長調Op.97「ライン」
ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調Op.67
ファゴット: シュテパン・トゥルノフスキー* 指揮:クリスティアン・ティーレマン
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団)
場所: Palais des Beaux-Arts (Brüssel)

肝心のウィーン・フィルの演奏の方もちょっとがっかり。特に管楽器はカスカスな音を出したり、全体でも「運命の動機」の最初の八分休符の取り方がまちまちで出だしが合わない。指揮者のティーレマンが客演でしかもまだ若いせいか、演奏に厚みはあるものの「双璧」ほどの迫力が感じられない。座席が最前列の端っこのコントラバスの直ぐ前というハンディもあり、後ろの方で聞けばもっと上手く聞こえたのかもしれない(舞台の真中が客席側にせり出している構造で、ファゴット協奏曲のソリストは最後まで見えなかった)。もちろんシンフォニックなサウンドの構成は高い水準にあったが、やはり本当のウィーン・フィルは本拠地のウィーンで聞かなければならないと確信してオランダに帰ったオラニエ公だった。

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March 23, 2006

オランダ国立バレエ団「白鳥の湖」

昨日以前にも紹介した当日券の安売りサイトで「Het Nationale Ballet」つまりオランダ国立バレエ団の「Zwanenmeer=白鳥の湖」を見に行った。このバレエ団はアムステルダムの「Het Muziektheater」という劇場を本拠地に活動しており、この劇場はコンセルトヘボウと並んでこの街のクラシック音楽の主要なイベント会場である(というか他にそういう所はもう無い)。

日時: 2006年3月22日(水) 19:30~23:15
演目: チャイコフスキー: バレエ音楽「白鳥の湖」Op.20
舞踊: オランダ国立バレエ団 振付:Rudi van Dantzig
管弦楽: Holland Symfonia 指揮:Ermanno Florio
場所: Het Muziektheater, Amsterdam

安売りサイトで当日券が売られているのでガラガラと思いきや、会場はほぼ満員。この日の公演は「白鳥の湖」の初日ということで、どこまでこなれた演技が見られるのだろうかと思いながら舞台は始まった。バレエには素人のオラニエ公だが、例えば主役の「ジークフリート王子」を演じている人と他を比べると、例えばスピンするような場合でも体の軸の安定感というものが明らかに違う。さすがトップレベルの人は相当鍛えられているのだろう。

第二幕からいよいよ白鳥が登場するのだが、どんどん増えて最後に24羽になる場面は圧巻である。白鳥を演じている女の人たちの手の線が細いこと。クラシックバレエの古典中だけあって、(オラニエ公の好きなチャイコフスキーのサウンドということもあるが)観る人を飽きさせることが無い。今日は初日なので二日目以降は更に洗練された踊りになっていくのだろう。ソロの見せ場で主役の「オデット」がちょっと着地を乱したのが気になったが、全体のレベルとしてはまずまずのものだった。

管弦楽はHolland Symfoniaというハーレムにあるオーケストラ。休憩時間にピッコロが一生懸命ソロを練習していたが(Pas de Six)、そこは無事に乗り切っていた。最後のクライマックスで「ジークフリート王子」が「オデット」に対する愛の力で「悪魔ロットバルト」をどう打ち負かすのかを期待していたら、なんと「王子」が斃れて亡くなって幕引き。悪魔や白鳥&黒鳥は行方不明。一体どうなったの?という疑問を持ったまま劇場を後にした。まあ正規料金の半額(16ユーロ)で十分楽しめたので良しとしよう。

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March 21, 2006

ウラディミール・フェドセーエフ健在

ふとしたことから フェドセーエフのオーケストラ公演がユトレヒトの街であることがわかったので、出掛けることにした。実は先週末にフランスのリールという街に行った時にもそこで公演をしていたのだが、残念ながら満席では入れなかった。そこでこのオケのホームページのロシア語を辿ったところ、Утрехт(ユトレヒト)というこの近くの場所が認識できたのだ。それにしてもこのオケはオランダ公演はユトレヒト、アイントホーフェン、エンスヘーテという地方都市のみで、アムステルダムやロッテルダムには来ない。これはよくある地方オケのドサ回りのパターンなので、旧ソ連邦崩壊後の約15年間でフェドセーエフの威光も衰えてしまったのかと心配だった。

ホールは1,200人は収容できるところに、観客は500人くらいだっただろうか。プログラムもショスタコーヴィチの比較的マイナーな作品のみというのも辛いところ。ロシアのオケと言えば数年前に聞いた「ムソルグスキー記念サンクトペテルブルク国立アカデミックオペラ・バレエ劇場管弦楽団」や「ウラル・ロシア管弦楽団」の薄っぺらい演奏が印象に残っているのだが、果たして一体大丈夫だろうか。ステージに置いてあるコントラバスは10本もあるけど色が黒くていかにも古そうだし...、なんという心配は演奏が始まって程なくして吹き飛んだ。

日時: 2006年3月20日(月) 20:15~22:15
曲目: ショスタコ-ヴィチ: チェロ協奏曲第2番ト短調op.126*
ショスタコ-ヴィチ:交響曲第8番ハ短調 Op.65
チェロ:Alexander Kniazev* 指揮: ウラディミール・フェドセーエフ
演奏: チャイコフスキー記念国立アカデミー大管弦楽団 (旧モスクワ放送交響楽団)
場所: Vredenburg Utrecht

まずチェロ協奏曲は独奏者の鬼気迫る演奏振りが印象的だったし、曲としても高音から低音まで幅広く表情豊かにチェロの持つ魅力というのを十分に引き出してくれるものだった。それにしてもこの曲は独奏者が休んでいる時間がほとんど無く、演奏者も大変だなあと思った。

交響曲第8番というのは初めて聞いたが、第5番「革命」にイメージとしては近い感じで、ショスタコーヴィチ独特のあの不安げなサウンドをしっかりと再現していた。特にフィナーレの前半の刀で切るようなフレーズのの連続技は見事。昔のような爆発的なうなりはなくなっていたが、その分第一ヴァイオリン17名というような大編成でも、決して壊れることない落ち着いた演奏を聞かせてくれた。

アンコールにスヴィリドフの如何にもロシア的な小品(ワルツ~「吹雪」)を聞かせる当たりも心憎い。フェドセーエフの公演は1988年のサントリーホールに以来だが、その健在振りがオランダで確認できて幸運だった。

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