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August 24, 2006

ユダの福音書を追え

タイトルの本(日経ナショナル ジオグラフィック社)を読み終えた。

この本は1970年代に発見されながらも、二十年以上もの間様々な人手に渡って専門的な解読がされなかった「ユダの福音書」の数奇な運命をたどるノンフィクションである。但しこの発掘から転売、そして解読までのストーリーと、福音書の内容についてが順繰りに現れるので少々読みづらい。「ユダの福音書」そのもの(例えば"正統"な福音書との詳細な比較)については他の本を探して読む必要がありそうだ。

感想としては「ユダの福音書」の内容そのものよりも、それをめぐる古美術商の業界の実態というかお寒い内幕が分かって興味深かった。例えばエジプトにいる古美術商の大半は、そこで発見あるいは盗掘される文化財の価値などほとんど分からず、それがいくらで売れて生活を楽にさせてくれるかだけが関心事だ。だからこのキリスト教の歴史を覆しかねないパピルス文書も、法外な値段を吹っかけて売れないと分かると無造作に銀行の貸し金庫にしまって忘れられ、さらにその間に劣化が急速に進んでしまった。気がついたときにはもうボロボロで、さらに一儲けしようとする輩(アメリカ人)の手によってバラ売りされて一部は散逸してしまったりする。今までの歴史の中でも、このようにして発見されながらも人手に渡って朽ち果てていってしまった史料が沢山あるのだろう。

このストーリー上にはヨーロッパ、エジプト、アメリカの様々な面々が現れるが、その中の大半はこの古文書で一儲けすることばかり考えている連中である。まさにこの古美術の業界というのは、学究を極めようとする一部の学者達とその一方で儲けることしか頭にないハイエナのような商人が混在しているという、極めていびつな世界だ。いかに考古学というものが危うい基盤の上に成り立っているか理解できた。

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