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September 24, 2006

歴史解釈の難しさ - ヴァンゼーにて

ベルリン旅行から帰る途中に、ベルリン郊外あるヴァンゼー会議記念館 (Gedenkstaette Haus der Wannsee Konferenz) に立ち寄る。ここは1942年1月にナチスの幹部が集まってユダヤ人問題の「最終解決」が決定された場所として知られている。ヴァンゼーは湖に面したベルリン郊外の高級住宅地で、ヨットが沢山係留されている別荘地のような所。そのような決定がされたとは思えないようなのどかな雰囲気である。

この博物館は会議そのものというよりも、ナチスによるユダヤ人迫害の歴史をわかり易く説明した展示場になっている。この手の展示は何回か収容所跡地などで見てきたが、ここは全ヨーロッパで起こったことが年代を追ってコンパクトにまとめられている。特にユダヤ人の女の子達が学校で撮った集合写真(1919年)には胸を打たれる。一体この子達のうち何人がホロコーストを生き抜くことが出来たのだろうか。この時には誰も予想しなかった運命が待ち受けていたのである。少なくともほぼ全員が人間の尊厳を否定されるむごい仕打ちにあったことだけは確かである。

このホロコーストについては、いまだに犠牲者の数一つをとっても論争が繰り広げられている。一般には600万人のユダヤ人が命を落としたとされるが、数十万人だったり、あるいはガス室での処刑自体存在しなかったとまで言う人もいる。ここヴァンゼーでの会議も、ユダヤ人の虐殺が最終決定された場所ではないという説も根強い。会議自体ヒトラーやナチスの幹部は出席していないこともあり、「最終解決」は「収容所での処刑」であるとは限らない(例えば東方への移住)という解釈もあるからだ。

わずか数十年前の話ですらこれだけ曖昧なのに、これから先歴史的に「正しい」ということはどのように伝えられていくのだろうか。歴史はあくまでも主観の問題であって、客観的に「正しい」ものはないともいわれるが、それにしても解釈が違い過ぎる。経緯やプロセスは様々だが、職務に忠実なドイツ人が上官の指示に従って事務的に処理を行った結果の積み上げが大勢のユダヤ人の死であったということだけは確かなようだ。この後に訪れた湖畔のレストランで、ドイツ人ウェイターの勤勉な態度を見てふとそう感じた。

<湖畔に建つ記念館>
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Comments

オラニエ公さま、
先日お借りしました「アウシュビッツ5回シリーズ」にも出てきていましたね、ヴァンゼー。ここの展示で印象に残っているのが、ナチス高官の孫(?)にあたる女の子が学校の授業中友達に「苗字が同じ(ナチス高官と)だけど、もしかして関係があるの?」と問われ戸惑いながら「Yes」と答えたところ先生も含め皆沈黙してしまったのがつらかった...と書かれていたこと、今でも同じ思いをしている子供達がいるのかな... 「アウシュビッツ5回シリーズ」、最終回をわざわざ別に用意していただきありがとうございました、不調だったCD-ROMがやっと復活したので今夜早速見ることにします。

Posted by: | October 20, 2006 at 11:35 AM

すみません、Oct 20, 2006 11:35:44 AMのコメント、名前を入れるのを忘れてしまいました。

Posted by: 小百合 | October 20, 2006 at 11:36 AM

アウシュビッツ(5回シリーズ)はさすがはBBCだけあってしっかり作っていますね。フランスの子供たちが移送されるときに精一杯お洒落な格好をさせたという先生の話が印象に残っています。また小百合様の興味を引きそうな番組があったら紹介します。

Posted by: オラニエ公 | October 23, 2006 at 11:44 PM

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