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September 05, 2006

クラシック音楽の黄昏

「西洋音楽史-クラシックの黄昏(岡田暁生著=中公新書)」 という本を読み終えた。普段何気なく聞いている「クラシック音楽」は、長い音楽史の中で本当に一時期のものでしかない。バッハの活躍した大体1700年過ぎからマーラーが最後の交響曲を書いた1910年位だろうか。前から疑問に思っていたのは、どうしてこの20世紀以降には「クラシックの名曲」と呼ばれるものが生まれ難いのだろうということだ。この本はそんな疑問に答えてくれるだけでなく、その前後を含めて西洋の音楽史での流れを分かりやすく解説してくれた。

結論から言えば19世紀のロマン主義の音楽でほぼこのクラシック音楽は完成の域に達してしまい、それ以上のものはもうどうしても作れなくなってしまったのだ。例えば絶対音楽を極めたブラームスやブルックナー、標題音楽ではベルリオーズにリスト、その延長にワーグナー、ピアノの分野ではメンデルスゾーンやショパンで完成の域に達したと言えるのだろう。確かにマーラーのような交響曲を作られた後で、何の新しさを求めるかと言うと、もう奇を衒ったようなマイナー路線、社会主義リアリズムのようなイデオロギー、あるいは12音技法のようなテクニカルな選択しかもう余地がなかったのかもしれない。

いつまでも19世紀印象派の絵画が美術館でメジャーであるように、「クラシック音楽」の分野は今後とも続いていくのであろう。この18~19世紀というのは市民社会が急速な成長を見せ、文化的には(物質的ではなく)今よりもずっとダイナミックに変化していた時代なのだろう。そこでそれに応えた多様な芸術(絵画・音楽)が創作されて、いつまでも人の心を打つのだと思う。しかし仮に2500年になってもこの期間の音楽だけが繰り返し演奏されているとしたら、じゃあこの20世紀後半や21世紀は何だったの?ということになるのだろう。ローマ文化が爛熟した後に混沌とした中世が訪れたように、今もまた長い歴史的視点で見ると文化的にはそれこそ黄昏も過ぎて暗黒時代なのかもしれない。

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