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November 17, 2006

アルゲリッチの演奏会

週末を利用してロンドンへ小旅行。イベント「その1」として、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)の演奏会をロイヤル・アルバート・ホールに聴きに行った。このホールは夏のPROMSの開催場所として有名で、2年前の旅行のとき以来である。

今日の演奏会のメイン曲は「シェエラザード」だが、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)によるラベルのコンチェルトの方が興味深い。アルゲリッチといえば今や大御所のひとりにも位置づけられる情熱的なアルゼンチン出身のピアニスト。タクトを振るのは彼女の元夫でもあるシャルル・デュトワで、確か以前にアムステルダムでもこのコンビネーションを聴いた記憶がある。ドタ・キャンが多いことで有名な彼女だが、ホールに入ってからも特に案内が無いので、幸運にも今日はその演奏が聴けるようだ。

陣取った座席はホールの2階部分のボックスシート。4人分で一ボックスが貸切になっていて、スペース的にも余裕があって満足。隣のボックスでは家族連れがシャンパン片手にサロン・コンサートのような感じで演奏を楽しんでいる。残響が長過ぎて音響的には今ひとつのホールなので、こういうシートで演奏を楽しむというスタイルも悪くはないだろう。

最初の演目はシベリウスの「カレリア組曲」。ところが曲が始まって30秒と経たないうちに「これは何?」みたいな感覚に襲われた。ホールの音響のせいもあるのだろうが、弦を中心に音に厚みがなくてポップス・オーケストラのような響きなのである。確かにRPOは昔から「フックト・オン・クラシック」というアルバムのように、クラシックをポピュラー風にアレンジして演奏するのが得意だったことを思い出した。かと言って音が合わなくて下手というのとも違う。これはヨーロッパ大陸とは違った、アメリカに近いアングロ=サクソン系のサウンドというものなのだろうか。

そうこう考えているうちに2曲目に進んでアルゲリッチが登場。髪の毛も相当白髪が増えて貫禄を感じさせる。60歳をもう超えているのだが、年齢による衰えなどというものを一切感じさせない演奏だ。ラベルの協奏曲ははじめて聴いたので他の人との比較は難しいが、タッチは正確かつスムーズで、円熟味を帯びた演奏を聴かせてくれた。更に圧巻だったのがアンコール。ソリストのアンコールというのはあまり聞かないが、今日は特別に(?)一曲独奏曲を披露してくれた(バッハ辺りの作品か?)。特にこの独奏の間はホールの観客全員が彼女の演奏に強く引き付けられていた。ピアノ独奏を聴くのは久しぶりだが、情緒溢れる名演に大満足である。

メインの「シェエラザード」は「オーケストレーションの魔術師」と言われるリムスキー=コルサコフの作品だけあって、ソロが多くて難易度が高い曲だと言うことが改めて分かった。特に聞かせどころのソロ・バイオリンはもうちょっと頑張って欲しいと思ったが、ソリストではないので元々難しい話かもしれない。やはりアルゲリッチが一番印象に残った演奏会だった。

日時: 2006年 11月 17日(金) 19:30~21:30
曲目: シベリウス : 組曲「カレリア」 Op.11
ラベル : ピアノ協奏曲ト長調*
リムスキー=コルサコフ : 交響組曲「シェエラザード」 Op.35
ピアノ: マルタ・アルゲリッチ (Martha Argerich)*
指揮: シャルル・デュトワ(Charles Dutoit)
演奏: ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
場所: ロイヤル・アルバート・ホール (ロンドン)


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<アンコールが終わって>

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