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December 10, 2006

ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」

エッセンのクリスマス・マルクトを後にして向かったのが、著名なフィンランドの建築家の名前を取ったアールト劇場(Aalto Muziktheater)。1988年オープンの近代的な建物で、白色を基調にしたロビーも広くて感じが良い。来ている人たちもクリスマスシーズンも重なってかおしゃれな感じで皆三々五々集ってシャンパンなどを片手に楽しそうに談話している。大人の社交界という感じの雰囲気がこれからの演奏会を盛り上げてくれる。

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<アールト劇場>


この楽劇「トリスタンとイゾルデ」はワーグナーの大作で、3幕合わせた演奏時間は3時間45分。公演開始が18:00で、2回の休憩を挟むと終了は23:00という長丁場である。有名な「前奏曲と愛の死」以外は全く聞いたことが無いので、ネットであらすじを一通り勉強し、プリントアウト片手にやって来た。舞台上方の大きな字幕板にはドイツ語が表示され、満員の聴衆で歌詞を理解できないのは我々2人だけ(?)という厳しい状況にもめげず、音楽そのものに集中しなくては。

前奏曲が始まって気がついたのが、オーケストラのレベルが高いということ。オペラ座の管弦楽団というとどうも今ひとつというイメージがあったが、ここはエッセン・フィルハーモニーという独立オケがピットに入っている。指揮者兼劇場の音楽監督を長年務めているゾルティシュはピットに登場する度に大きな喝采で歓迎されていたので、この街の名士と言ったところだろう。若干管楽器にばらつきはあるものの官能的なメロディーを歌うように次々と奏でて行く。

演出で面白かったのは、ほぼ三幕とも約3mを一辺としたキューブ型の部屋の一室を模したセット内のみで劇が展開したこと。大掛かりな仕掛けはない。第二幕ではこのキューブそのものが何回転もするという大胆なセットの動きにはビックリした。最初の「天井」が「向かって右の壁」、更には「床」、「左の壁」になってまた「天井」という具合にゆっくりと回るのだその動きにあわせて主役の二人も歌いながら移動していく。ストーリーとしては二人の道ならぬ愛とその先に待ち受ける必然としての死を描いているので、そのめくるめく愛のある意味倒錯した世界を表現したかったのだろう。

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<回転する舞台(劇場のHPより引用)>


それにしてもこの楽劇は長い。登場人物が少なく「タンホイザー」のような合唱の場面もない。とりわけトリスタン役の人は第二幕以降はほぼずっと歌いっぱなしでテノール歌手泣かせと言われるだけあって大変そうだ。第三幕では瀕死の重傷を負った割に元気なトリスタン。最後はパンツ一丁になって息絶えるまでの熱唱と熱演に拍手。音楽では「前奏曲と愛の死」に集約された幾つかのテーマが、全体の流れの中でキーのモティーフとして美しく場を盛り上げていく。その行き着くところが最後のイゾルデによる「愛の死」の歌。本当に綺麗でトリスタンの亡き骸に寄り添って亡くなるエンディングには思わず涙が...。さすがに二幕の後半と三幕の前半では見る方として少し集中を欠いてしまったが、3時間45分を長くは感じさせない濃い演目を楽しむことが出来た。

日時: 2006年 12月9日(土) 18:00~22:55
演目: ワーグナー: 楽劇「トリスタンとイゾルデ」 (1865年初演)
主な配役: イゾルデ:Evelyn Herlitzius、トリスタン: Jeffrey Dowd
指揮: Stefan Soltesz
演奏: Essener Philharmoniker
(詳細は こちらのHPを参照のこと。ページ右の"Szenefotos"に舞台の写真もあり。)

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Comments

初めまして。ぶろぐ村のヨーロッパ情報のリンクから来ました。
私はオランダ在住なので、「オラニエ公」。ついついクリック。

ワーグナー、時々聞くといいですよね。
聞きすぎるとヒットラーとルートヴィヒ2世の気持ちになっちゃいそう(^^;)。
あと、曲に区切りがないですよね。
演奏する人疲れないのかしら?といつも不思議に思ってしまいます。

ニーベルングの指輪のDVDを買って地元のカフェでチェックし直してたら「ヒットラーの音楽じゃないか!」とオランダの年寄りに怒られました。ワールドカップの時期だったので(^^;)
初めてのコメントで長々失礼しました。

Posted by: ミツフィー | December 27, 2006 at 05:44 PM

ミッフィー様、コメントを頂きどうもありがとうございます。
年末年始は日本に一時帰国していたので、レスが遅れました。

大作の「指輪」はまだ見たことが無いのですが、DVDをお持ちとは結構「通」でいらっしゃるのですね。

これからもよろしくお願いします。

Posted by: オラニエ公 | January 05, 2007 at 02:01 PM

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