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February 21, 2007

復活目指すサンクトペテルブルク・フィル

サンクトペテルブルク・フィルといえばあの巨匠ムラヴィンスキーが君臨した旧ソ連最高峰のオーケストラ、レニングラード・フィルの末裔というかそのものに当たる。ところがソ連崩壊後の混乱のため人材が流出したせいか、最近ではあまり聞かなくなっていた。今回のオランダ公演旅行もアムステルダムのコンセルトヘボウには来られず、オラニエ公はユトレヒトのVredenburgというホールまで出掛けていった。

以前もここで旧ソ連の巨匠ウラディミール・フェドセーエフ(指揮者)の健在ぶりを聞けたことがあったが、果たして今日はどうだろうと期待が一杯。最初の曲はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番。驚いたことにソリストは中国か韓国系と思しきアジア人のまだ若い女の子。黒をベースにしたドレス姿が素敵なんて気になっていたが、演奏の方も若さ溢れるタッチで弾きまくりという感じ。第一楽章が終わった時点でその演奏ぶりに拍手が起こったくらいだ。ところがオケの方が全然乗ってこない。主旋律になるはずのトロンボーンやホルンが平気で落ちたりするし、全体にサウンドが響かずにピアノばかりが浮き上がってくる。「おい、もっとしっかり吹けよ。」なんて思っているうちにフィナーレで、オケは少しは響くようになったが、コーダでピアノとの呼吸が合わずに終了。若手女流ピアニストのメリハリのきいた流れるようなタッチにオケが救われた第一部という感じ。後で分かったのだが、彼女は日本でも最近公演を開いている今売り出し中の中国人ピアニスト(王羽佳)だった。

かつての栄光に輝くサンクトペテルブルク・フィルもここまでかと思いきや、第二部に入って状況は一転する。あまり馴染みの無いラフマニノフの交響曲で、オーケストラの編成も第一バイオリン16本をはじめとするステージから溢れんばかりの大編成。粗くて洗練されていない演奏になるかと心配したが、これが意外とテミルカーノフの指揮のもとバランスの取れた響きを奏でた。特にオラニエ公には堪らないロシアの美しいメロディを歌う第三楽章、更には一転して抑え切れない情熱がほとばしるようなフィナーレの対比が心に残った。ロシアの伝統か管楽器(特に金管)の粗さに比べて、流れるようにメロディーを繰り出す弦楽器の充実振りが感じられた。

ムラヴィンスキーの死去でこのオケをテミルカーノフが受け継いだのがソ連崩壊直前の1988年。それから20年弱の間色々と辛いこともあっただろうが、まだまだ頑張ればかつての栄光に少しでも近づけるのではないか、そんな思いを抱かせるコンサートだった。

日時: 2007年 2月 21日(水) 20:15~22:15
曲目: チャイコフスキー : ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op.23*
ラフマニノフ : 交響曲第2番 ホ短調 Op.27
ピアノ: 王羽佳 (Yuja Wang = ユジャ・ワン)*
指揮:ユーリ・テミルカーノフ(Yuri Temirkanov)
演奏: サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団
会場: Vredenburg (ユトレヒト)

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